2011年1月25日火曜日

DC9日目、北風と太陽

日本人の美徳、相手を推し量り行動することができること。

アメリカ人の美徳、相手に対して素直に自分の考えを言うことができること。

この考え方を聞くたびに、昔話の北風と太陽の話を思い出す。どちらが旅人の服を脱がすことができるかを、北風と太陽が競う話。風を吹き付けて服をはぎ取ろうした北風に対し、気温を上昇させることによって旅人自らが服を脱すよう仕向けた太陽。

北風のアメリカ人と、太陽の日本人。

ふと毎回疑問に思う。両者の良さは本当にこの点なのか。

人々がアメリカ人は素直に物事を言うから好き、と言っているのを聞くと少し違和感を覚える。確かに、アメリカ人は自分のやって欲しいことを相手に伝える傾向があるかもしれない。しかし、素直に率直に伝えるかどうかは別の話。アメリカ人であっても、もちろん相手や場所に合わせてお世辞を言ったり、相手のことを褒めたりする。それをしないで生きて行くことができるほど、人間関係は楽な世界ではない。日本のように堅苦しく言うのではなく、自然に褒めるから強調されないまでであって。もしも素直に生きるのであれば、相手のアイディアを嫌いだと言う人がいても良いと思うが、そんな人は見たことがない。会議の場においても、日本人のように慎重に言葉を選んで、相手の気持ちを考えて発言している。

逆に日本人であっても素直に物を伝える人は多い。自分の思っていることや、考えを素直に伝える。自分はこう思う、自分はこうしたい、そういう若者は多いのではないか。他の人のことを考えているのであれば、書きこむことができないような内容が日本語でインターネット上に溢れている。他人や他国の悪口。

自己主張をしない人々、日本人。果たして本当なのだろうか。これだけの書きこみがあって、自己主張をしない、相手のことを考えている。本当に言えるのだろうか。

昔留学したときに、やろうと決めたことがある。なるたけ自分の中のレンズを捨てること。今回の話はステレオタイプに基づいた分析を行った結果、間違ったレンズをかけてしまったもの。日本人とはこういうもの、アメリカ人とはこういうもの。そう言った固定概念のもとに生活をしてしまい、当てはまったものだけを拾い見る。そうして凝り固まった考えのもとに生活をしていく。

昔お世話になった先生が言っていた。自分のレンズがどれだけ曇っているか、どれだけ自分を認識することができているか、まずはそれを知ることから始めると良い。

留学を終えてから2年間が経過した。太陽と北風を経験したレンズは晴れるどころか、余計に曇ってしまったのかもしれない。曇りを認識するための努力。まだまだ時間がかかりそうな予感がする。

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